【桶作り奮闘記*更新高頻度】
このコラムでは、樽徳商店のルーツである「手作り桶・樽」に関わる情報を発信して参ります。
樽徳商店では、現在、参与のもと、見習い2名が日々奮闘してます。
途絶えつつある、日本古来からある文化を絶やさないよう、必死に向き合う姿をお届けできればと思います。
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2025.10.02
今週は箍の元をつくりました。
いつもは参与が用意してくれていたのですが、
私が何回も失敗するために残りが少なくなってしまいました。
いつも忙しい参与をつかまえて教えてもらいます。
竹の一本のものをまずは4等分に割ります。
それをさらに鉈で半分に割っていくのですが、まっすぐにちょうど
半分に割っていくのが非常にむずかしい。
「右に寄ったなと思ったら、鉈の振りで調整するんや。」
と、参与がしているのを見ていると簡単そうですが、
実際に自分で試してみると裂け目が左右に寄ってしまったときに
そのまま戻せずに幅が均一にならなくて失敗。
上手くいくときもあるのですが、偶然できた可能性のほうが
高そうです。
幅がちょうどよくなったら、次は内側の身の部分を削って
いきます。
わたしにとってはこの作業のほうが難しく、だんだんと斜めになり、
途中で切れてしまうこと数知れず。
今まで参与が用意してくれていた箍を薄皮を削って小刀で幅を
調整するのでも時間がかかっていたのですが、
1本の竹から、このタガの元をつくる作業のほうが何倍も
大変でした。
普段使わない筋肉を使うのか、手がものすごく疲れました。
2025.09.18
前回、おにぎり型に苦戦しているとお伝えしましたが、
現在も壁にぶち当たっています。
というか、路頭に迷っています。
どこをどうすればよいのか、どこがちがっているのかが
わからないため、暗中模索といったところです。
でもこの苦労した経験がいつか身になるはず。
気長にやりたいと思います。
2025.09.09
新しい桶の制作をはじめました。
次はおにぎり型の桶をつくろうと思います。
丸ではない、ほかと違った桶をみてみたいとご意見を
いただきまして、意見交換をした結果、
おにぎり型ならできるのではないか?
と意見がまとまりました。
何事もチャレンジということで、
制作にとりかかっているのですが、苦戦しています。
2025.09.05
この間、完成した波型の桶を見てもらってきました。
自分がつくったものをみてもらうのってドキドキしますね。
私が思っていた以上に気に入っていただき、
お花みたい、王冠にも見えるね。などの感想をもらい、
それぞれひとによって見えるイメージって
違っておもしろいなぁと思いました。
今回の波型の桶も、こんな形の蕎麦猪口があってかわいいねんと
見せていただいた写真から、どういう風にしたら桶に取り入れられるかな?
といろいろ考えた結果できたものなので、ひとりではできなかったな、と。
社長がいつも
「いろんな人と話していろんな意見を聞くのが大事なんですよ」と仰るのですが、
それを実感できました。
先日、参与の師匠にも波型の桶を見ていただいて、
おもしろいな。もっとこうするといいよと
アドバイスをいただきましたので、次回作はさらにいいものに
したいと思います。
松井
2025.08/22
桶が完成したので、記録を残します。
設計の段階での完成サイズは7寸(約21㎝)
底部分は6.8寸(20.4㎝)
外枠の厚さ 3分
底板の厚さ 3分
オチ 0.97
完成した桶の実際のサイズ
直径 20.2㎝
底部分直径 19.8㎝
外枠の厚さ 0.9㎝
底板の厚さ 0.9㎝
高さ 6.3㎝
波型加工
波の数 5
高さ 1.1㎝
波の数は横から見た時に立体感がでるように奇数にしました。
緩やかなカーブにしたかったのと、花びらっぽくもしたかったので
波の数を5にしました。
あとは、数字の5が持つ意味が安定や繁栄、新しいものを
生み出す力があると知って、ご依頼いただいたお客様にぴったりだと
思い、5つの波にしました。
松井
2025.08.19
箍は竹を縦に割いたものを削ってつくります。
小刀で節を取り、ちょうどよいしなり具合になるまで内側を
削っていきます。
表面の青い部分も薄く削いでいきます。
削れたら、桶の直径に合わせて編んでいきます。
これがなかなか難しくて、緩いとちゃんと締まらない。
きついと入っていかない。
特に底に近いほうの箍は、はまるかはまらないかの
ギリギリを攻めていくので、何回も編みなおす羽目になります。
なんとか箍が二本入ったら、無事に完成です。
今回は要望がありまして、写真のような形にしてみました。
気に入っていただけるか、なんか違うといわれてしまうのか
ドキドキですが、感想いただけましたらまたご報告します。
松井
2025.08.08
お湯を入れると割れてしまった桶の原因がわかりました。
参与の師匠によると、底板を鉄の棒で圧縮した際に、
圧縮しすぎて、お湯を入れたときに底板が膨らんで
その膨張に耐えられずに外枠が割れたということでした。
説明してもらうと、確かにいつもより多めに鉄棒で
ゴリゴリしたなぁと思い当たる節があります。
対処法は、圧縮した底板を圧縮前の100の状態に戻してから、
また削って底板をはめるとのことでした。
完全に乾かしてから、底板を削り、底を入れて
箍をはめていきます。
2025.08.05
底を入れるときは毎回ドキドキします。
なぜなら、私は底入れのときに割れたことが何回も
あるからです。
どちらかというと、割れてるほうが多いですね。
この底が入るか、入らないかは音で判断するそうで、
こればっかりは経験による感覚だそうです。
割れずに入れようと削り過ぎると隙間が空いて水漏れするし、
ほんのすこしでも大きいと外枠が割れます。
ちょうどいいってむずかしい。
今回は無事に底がはまったので、お湯を入れます。
順調にできたなぁと思っていると、ポコポコと空気が
桶の下から出てきて、外枠が外れています。
この現象ははじめてで、参与に聞くと
参与もはじめて見たそうで、わからないと。
参与の師匠に聞いてくれることになりました。
松井
2025.08.01
底板ができたら、円形になるように削っていきます。
まず、のこぎりで円周の周りの余分な部分を切ります。
細かく切っても、どうしても角が残るので、この角を
鉋で落としていきます。
丸に近くなったら、鉋で調整していきます。
この時に気を付けなければならないのは、削る向きです。
木目に合わせて削らないと、きれいに削れません。
出来上がっている外枠にはめながら、隙間ができないように
慎重に調整していきます。
溝の上、1㎝くらいまできたら、鉄の棒で底板に圧力をかけて
小さくします。
なぜそんなことをするかというと、この圧力をかけて縮んだ木が、
底にはまったときにお湯を入れて膨らむことで、隙間なく底がはまり、
水が漏れなくなるそうです。
ほんまによくできてますよね。
大きさがちょうどよくなったら、溝部分に底板を斜めに入れ、
木槌で叩きながら入れていきます。
2025.7.29
溝が掘れたら、底板を作成します。
板に鉋をかけ、表面を平らにします。
底板の厚さよりも少し余裕をもって残したい厚さに印を
つけて鉋で削っていきます。
この板を3~4枚つくります。
厚さを揃えられたら、側面を削るのですが、
ここで毎回、正直の沼にはまります。
直線に削るから簡単だと思いますよね?
わたしもそう思っていました。
ところが、2枚を合わせてみるとなかなか合わない。
表が合っても、裏返すと隙間がある。
削っていくうちに節の固い部分が現れて、まっすぐに削れない。
「合うときはな、ピタッと吸い付くようになるんや」
これは底板のつくりかたを教えてもらった時の参与の
言葉です。
なかなかこの域まで達することができないのですが、
合うときはほんとにこの参与の言葉どおり、
ピタッと隙間なく合います。
そのときはめちゃくちゃ嬉しいです。
2025.7.28
正直で調整が終わったら、側面に竹釘をいれる穴をあけていきます。
竹釘も自作します。おおよそ5分から6部の間くらいの長さに竹を切り、
内側の肉を削って、穴に入れる両端を小刀で尖らせた後、
なたで1㎜位に割っていきます。
非常に細かい作業で、慣れるまでなかなかうまくできません。
うまく割れても、勢いがあるとそのちっちゃな竹釘が飛んでいって、
どこにいったかわからなくなるので泣きそうになります。
そんなこんなで、竹釘を入れて貼りあわせたら、タガを入れて
1日置きます。
2025.7.25
外枠が組みあがったので、内側を鉋で削ります。
内側を削り終わったら、厚さを決めて(今回は3分にします)
印をつけ、外側を削ります。
次に、底板を入れるための溝を削っていきます。
底は釘などを使用せずにこの溝にはめるだけなので、
線に合わせて丁寧に掘っていきます。
勢いあまって線からはみだすと底板をはめた時に
傷が残るのでほんとに要注意です。
2025.7.17
当初12枚で円周に余裕があったのですが、
正直の沼にはまった結果、最終13枚になりました。
最初の頃は毎回毎回、足りない!となって、
最終的に3~4枚増やしていたので、すこしは成長している模様。
板を増やさずに済むようになるのはいつになるのでしょうか。
板同士を合わせて、隙間がないか調整していきます。
このときに、正円ならいいのですが、板の横幅がどうしても
同一にはならないので、楕円になったりします。
そのときは、板の順番を変えて正円に近くなるようにまた調整。
順番を変えることによって隙間ができるので、それをまた調整。
調整が終われば、竹釘を入れて組んでいきます。
2025.7.11
設計ができたので、杉の木材を割って、
長さを切りそろえていきます。
今回は浅めの桶なので、2.5寸の高さにします。
外側を7寸の定規に合わせて鉋で削ります。
厚さを3分にするつもりなので、3.5分くらいに
印をつけて内側を削っていきます。
これを12~13枚くらい作っていきます。
作成したこの曲線の板を横につなげて円状に
していくのですが、そのためには側面を正直(しょうじき)と
いう道具で定規の角度に削らないといけません。
この正直という道具がわたしには壁でありまして、
いつも削っては角度がすこしずれ、下の部分が合えば
上の部分が合わずと、延々と同じ作業を繰り返し、
板の幅が狭くなり、円周の長さが足りなくなることが多々あります。
そうなると、上記の作業を繰り返して板をつくり、
正直で角度を合わせて・・といつ終わるのかわからない
無限ループにはまります。
これをわたしは正直の沼にはまると呼んでいます。
松井
2025.7.8
新しい桶の制作に取り掛かります。
今回はざるそばを入れる浅めの桶をつくりたいと思っています。
直径と高さを決め、オチを計算し、実際に杉を切っていきます。
設計大事。
いつも参与に教えてもらっていますが、この数値の求め方が???です。
数学を真面目に勉強しておけばよかった。
この設計図を元に桶を作っていきます。
松井
2025.7.7
今日は七夕ですね。
短冊を飾るのは竹ですが、そもそもどうして竹なのかな?
と思い調べてみました。
竹に飾る理由と意味
- 神様の依り代(よりしろ):竹はまっすぐ天に向かって伸びるため、神様が宿る場所と考えられていた
- 音で神を招く:竹の葉が風にそよぐ音は、神様を呼ぶ「神招き」の音とされていた
- 生命力と魔除け:竹は成長が早く、空洞の茎には神秘的な力が宿ると信じられ、邪気を払う力があるとされた
- 願いを天に届ける:短冊を竹に吊るすことで、願いが天に届くようにという祈りが込められている
桶の箍にも竹が使われていますが、その理由はこちら。
竹が箍に選ばれた理由
- しなやかで強靭:竹は繊維が強く、曲げても折れにくいため、桶の円周にぴったり巻きつけられる
- 軽量で扱いやすい:金属よりも軽く、持ち運びや作業がしやすい
- 湿気に強い:水分を含んでも腐りにくく、桶の使用環境に適している
- 加工性が高い:割って削って編むことができ、職人の手仕事に向いている
- 修理・交換が可能:竹箍は傷んでも編み直しができるため、長く使える
竹の箍ってすごく編むのが難しいです。木でも竹でも自由自在に加工できるように
なればもっと楽しくなるだろうなと思います。
【2025年7月3日】
前回は釜揚げうどん用のうどん桶6寸をつくりました。
底も割れずに入れることができ、今までで一番順調にできたと自負していたのですが、
いざお水を入れて、30紛放置してみると・・
底から漏れていました。
ですので、10分以内に食べ終えなければなりません。
ほんとにむずかしい。まだまだ修行が必要です。
【2025年6月25日】
こんにちは。受注担当の松井と申します。
突然ですが、桶職人になりたくて参与に弟子入りして修行中です。
職人になりたいというよりも、実用的で美しい桶をつくれるようになりたくて
日々がんばっているところです。
ここでは、日々の記録と問題点を探るために制作過程での失敗や気づきを残したいと
思っています。よろしくお願いします。